取材協力:カワサキプラザ東京足立(B.F.ViVid株式会社) 取材:小川浩康(インタビュー)/小泉裕子(撮影)
掲載日:2024/07/26
カワサキブランドの専門店カワサキプラザ。その東京第1号店として2018年にオープンした『カワサキプラザ東京足立』は、今年2月に店内を「2.0世代」へとリニューアル。黒から白へと基調色を変更し、床材を木調のフローリングに統一するなど、店内は明るく気軽に入りやすい雰囲気となった。同店はツーリングやライディングスクールなどイベントを毎月開催し、車両販売だけではなく、バイクライフを長く楽しめるよう充実したサポートも行なっている。昨年も20代のフレッシュな人材が複数名入社しているが、堅調な車両販売に合わせてメンテナンスや車検のニーズにも応えるため、メカニックを募集している。
代表であるゼネラルマネージャーの田村知徳さんは1968年生まれ。ARK(アーク)店、モトプラザカワサキ店と、38年に渡りカワサキ車を取り扱ってきた歴史とノウハウを持っている。ツーリングイベントの行き先やルートも田村さんが設定している。
田村代表:私のバイク業界での経歴は、1986年に私の父が創業したカワサキメインのARK店に携わることになったことからスタートしました。その後、2003年に当社の代表に就任し、店舗をモトプラザカワサキ店としてリニューアル、当時のスタッフは私を含め3人で、カワサキの新車販売をはじめ、旧車や他メーカーも取り扱い、カスタムも行なっていました。その頃からツーリングやサーキット走行会も開催し、「一人だとどこへツーリングへ行っていいか分からない」という方や、走りに不安のあるビギナーの方々に、実体験を通してバイクの楽しさを伝えることを大切にしてきました。我々スタッフと一緒にツーリングやサーキットで体験走行をすると「安心感がある」と喜んでいただけることはもちろん、マシンの限界を知ることで一般道でも安全マージンをしっかりとるようになり、峠で飛ばさなくなるなど、普段の走りが見違えるように変わります。バイクライフを長く安全に楽しんでいただきたいという思いから、運転に慣れていないお客様が経験を積む機会を設け、バイクライフが充実するお手伝いをしたいという気持ちは、その頃から変わっていません。
田村代表:モトプラザカワサキとしての営業を続けるなか、新たに、カワサキブランド専門店 “カワサキプラザ” が展開されることになりました。当社は古くからコンスタントにカワサキの新車を販売していたこともあり、カワサキに特化したほうがスタッフもより働きやすいだろうと感じていたこと、イベントを通じて若い世代やビギナーにバイクの楽しさを広めたいという思いが強くなり、2018年に「カワサキプラザ東京足立」としてリニューアルオープンしました。時代の流れや当社の目指す店舗像の実現にはカワサキプラザ展開は理想的だと感じたのです。
今年は、店舗の外観/内観を「2.0世代」へとリニューアルしました。外観はガラスが多くて店内が見やすく、内観はアパレルの展示スペースが増えたことで、若い世代やリターンライダー、女性の方も気軽に入店していただけるようになりました。普段着としても着られるアパレルも増え、ウェアも含めたトータルコーディネートでバイクを楽しむお客様も増えてきました。
ショップの来歴を語ってくれた田村代表。穏やかな口調に人柄のよさがうかがえた。
田村代表:カワサキの401cc以上の車両には1カ月点検、3年間の定期点検などが自動付帯する「カワサキケア」がありますが、400cc以下の車両にも定期的なメンテナンスを受けられる「メンテナンスパック」が別途設定されています。以前よりバイクユーザーの皆様の「安全」への意識が高まっていることもあって、このメンテナンスパックに入られるお客様も増えています。点検は、各項目でチェックしないと次の作業に進めないようシステマチックになっていて、よりミスが出ないようになっていますが、その分、点検作業も増えています。さらに昨年からは「指定工場」となりましたので、車検の台数も増えました。そうした点検依頼の増加に対応し、お客様の安全と長いバイクライフをサポートするためにメカニックを募集しています。
田村代表:バイクが好きであれば経験は問いません。環境に応じて動ける柔軟さがあり、明るい人なら未経験でもOKです。経験を積んでやれることが増えてきたら、任せられることも多くなります。勤務に対する評価制度も構築してあり、レベルアップに応じた待遇と給与体系となっていますので安心して働けます。スタッフは20代~50代までいますが、みんな仲がよく、コミュニケーションをとりながら仕事をしています。昨年は、20代が3名入社しましたが、メカニックはお客様の安全や命に関わる作業もありますので、そこは厳しく、安全に関する意識を共有しています。
弊社には2級整備士がいますので、働きながら整備士資格を取得できるようアドバイスやサポートする体制も整っています。未経験の入社の方でも、ぜひ2級整備士、検査官、検査員を目指してほしいです。カワサキには電動バイクやハイブリッドもあるので、好奇心があり、何でもトライできる柔軟性があるなら、楽しんで働けると思います。
店長を務める前原弘幸さんは1974年生まれ、九州出身。当時の中型免許から大型免許を取得し、400ccから大型と乗り継いできたカワサキ好き。
「ブランド管理者」「二輪品質評価者」「安全運転指導員」も務める。
前原店長:私のキャリアは、地元のカワサキメインの個人店にメカニックとして入社したことから始まりました。そのお店は昔ながらの個人店だったこともあり、店主の作業工程を見て準備すべき工具を考えたりと、仕事は見て覚えていきました。そうした積み重ねの毎日のなか、メカニックとしてのキャリアアップを考えるようになったのです。個人的にカワサキ車を乗り継いできたため、違うメーカーのお店への入社は考えにくく、今から17~18年前のモトプラザ時代の当社に入社しました。
入社当時は田村代表、当時の工場長、私の3人でした。3人並んで整備をして、3人で営業をしてという感じで、全員でやらないと回らない状況でした。前職では修理がメインでしたので、30歳を過ぎて初めて接客、営業、販売、保険業務に携わることになり、今までにない環境が新鮮でした。お客様がより近くなった感じもあり、いろいろと経験することもできたので、現在の私のベースが作れたと思っています。モトプラザ時代には工場長を任され、カワサキプラザへリニューアルオープンした際に店長(マネージャー)に就任しました。
前原店長:当店は、モトプラザ時代は旧車も取り扱っていたので、溶接や旋盤加工を伴なうカスタムも行なっていました。カワサキプラザとなってからは、カワサキケアモデルの販売やメンテナンスパックに加入されるお客様が増え、その点検作業も多くなりました。さらに指定工場となり車検整備も増えたため、点検作業や車検業務をこなせるメカニックが足りておらず、カスタムなどに手が回らない状況です。
最近のモデルは壊れることも少なく、バラバラにして修理するような作業は減っています。点検は項目を見てチェックする作業が増えていて、作業漏れやミスが起こらないような仕組みがとられています。近年は、電動バイクやハイブリッド車の取り扱いも始まっていますので、新しいものに興味があったり好奇心がある方なら働きがいを感じられると思います。点検作業においても好奇心を持って仕事に取り組むと、自然と疑問点が出てくるはずですし、その疑問を解決しようとすれば知識や経験も増えていきます。点検に関してはメーカーの講習もありますし、当店にはカワサキ専売店ならではの技術やノウハウを蓄積したメカニックが在籍していますので、未経験の方も経験を積めるよう、サポートしていきます。
30歳を過ぎて初めて営業職を行うようになり、さまざまな業務を経験してきた前原店長の「好奇心があれば大丈夫」という言葉には説得力がある。「でも私は、整備のほうが性に合ってると思っていますけど(笑)」と前原さん。
前原店長:当社の年齢層は20代前半と50代が多く、中堅が薄い状況ですので、電動バイクやハイブリッドといった新しい技術への対応意欲のあるメカニック経験者は、即戦力として歓迎です。その一方で、若い世代には切磋琢磨して経験を積んでもらえばと考えています。未経験でも好奇心や興味があれば大歓迎です。
昨年、20代が3名加わり、メカニック4人、営業4人という体制になった。営業スタッフは20代から50代で、各年代毎に対応できるが、点検業務多忙につき、メカニックを募集している。
杉浦与和さんは2001年生まれ。新卒入社の2年目で営業とメカニックを担当している。通勤バイクのニンジャ250を始め、Z750Four、ゼファー1100、ニンジャ1000SXでツーリングを楽しむカワサキ好き。
杉浦さん:父がカワサキのバイクに乗っていた影響で、高校の頃からバイクに興味を持ち、大学時代から乗り始めました。就職先を探すなか「仕事は好きなことをやってみたい」とモーター関連の仕事を探していた際に、求人サイトで当社を見つけ、説明会に参加しました。説明会では田村代表にいろいろと説明していただきましたが、会話の中に人柄のよさを感じ、もてなされている印象も受けました。他のスタッフさん含め、お店全体の雰囲気からもおもてなしの精神を感じ、とても温かい気持ちになりました。「この職場なら自分も同じ気持ちで働ける」と思いエントリー、その後、内定をいただき、インターン的に半年間のアルバイトを経て、昨年の4月に正社員として入社しました。
杉浦さん:当初は営業職の希望で応募したのですが、メカニズムに関する知識がないとお客様と商談もできません。メカニズムに関する知識は、実際の作業に携わっていないと反映されないと思いますので、平日は納車整備や修理、週末は営業や接客、また人出が足りない時は平日も営業といった感じで、臨機応変にお客様対応しています。学生時代から日常点検や消耗品の交換をしていましたが、知識が豊富というわけではありませんでした。分からないところは調べたり、先輩に教えていただきながら知識を蓄えています。職場がアットホームな雰囲気なので、そうした質問もしやすいですし、親切に教えていただいています。説明会での温かい印象は今も変わらないので、働きやすさを感じています。
「車両の取り回しは問題なかったですが、トラックへの車両の積み下ろしはちょっとしたテクニックが求められ大変でした」という杉浦さん。
杉浦さん:車両やメカニズムに関することは入社してからも学べます。もちろん技術的な知識があるに越したことはないですが、お客様からの「ありがとう」の言葉をモチベーションにできるような、やる気が大切だと思っています。お客様も新車保証、メンテナンスパック、ロードサービスなど、買った後のことを求められる方が増えています。安心して乗っていただけるように対応するのが当店の強みですので、それにはおもてなしの気持ちが必要だと思っています。
杉浦さん:私自身まだ経験が足りず、地に足を着けて基礎を固めているところです。まだまだ勉強中の身ではありますが、働いた分はしっかり評価してもらっています。車両管理やレンタル車両の整備点検を担当していますが、評価されているのが分かりますし、やりがいも感じています。基本的に火曜・水曜が休みで、待遇面は他業種の同期と比較しても悪くないと思っています。働きながら学べてバイクの理解力も深まり、生活できる待遇も整っていますので、おもてなしの気持ちを共有できる人が来てくれたらいいですね。
当社には働きながら整備に関して学べる環境も整っていますし、経験を積めば裁量も増えていきます。裁量が増えればお客様との対応の幅も広がりますので、頑張って「できる営業マン」になりたいですね。
JOBIKE編集部より
ガラス張りの外観からは明るい店内がよく見え、一歩店内に立ち入ると、さわやかなアロマの香りに包まれる。バイクは光るケージ内に展示され、アパレルやグッズも各所に配置され、スタッフが温かく迎えてくれる。80年代のバイクブームをリアルタイムで経験してきた筆者には、かつてのバイクショップからの変貌ぶりに驚いたのが正直なところだ。
この変貌を推し進めた田村代表(筆者と同い年)は、かつては前原店長と肩を並べて車両を整備し、カスタムマシンも手がけるなど、バイクブームからカスタムブームまで最前線で活躍されてきた。そうした中で「バイク仲間を増やしたい」という気持ちが高まり、時代の変化に合わせてカワサキブランド専門店となった。その田村代表の先見性のすごさは、50代半ばの同い年だからこそ、筆者のより深いところに入ってきた。
カワサキはNINJA H2やZX-25Rなどを始め、NINJA e-1、NINJA 7 HYBRIDなど絶えず話題性のあるモデルを発売してきた。カワサキブランド専門店はそうした新しい技術への対応も求められるが、さらにカワサキプラザ東京足立は、「若い人やビギナーにバイクを広めたい」という田村代表の思いもあり、ツーリングやサーキット走行会といったイベントも毎月開催している。代表と店長へのインタビューではもちろんのこと、入社2年目の杉浦さんへのインタビューにおいても、こちらの意を汲んで明快に答えてくれる姿勢に、おもてなしの気持ちがしっかりと感じられた。清潔で明るい店内、整頓された整備工場、明瞭な評価基準と待遇は働くうえで大きな魅力だが、そこだけに目を向けていては勤まらないだろう。けれど、新しいことに興味があり、環境に応じて動ける柔軟性があれば、成長できる職場であることは間違いない。
JOBIKE編集部より
カワサキプラザ東京足立(B.F.ViVid株式会社)
〒〒123-0843
東京都足立区西新井栄町3-16-19
電話:03-3886-8856
営業時間: 10:00~18:00
定休日 : 毎週火曜日、第1・2・3・4水曜日
HP : https://www.kawasaki-motors.com/ja-jp/plaza-store/tokyoadachi
EMAIL : tokyoadachi@kawasaki-plaza.net