取材協力:株式会社八尾カワサキ 取材:沼尾 宏明
掲載日:2025/10/16
大阪と奈良にカワサキプラザやハーレーダビッドソン正規販売店など計8店舗を運営する『八尾カワサキ』。志を持ち、質の高いサービスで多くのお客様から愛されている。職場は働きやすさにこだわり、長く在籍するスタッフが多いのも特徴だ。さらなる発展を目指し、未経験者からマネージャークラスまで幅広い人財を募っている。
「八尾カワサキ」は、関西圏屈指の老舗にして、多数の店舗を展開している有力グループである。カワサキの全排気量を扱う専門店「カワサキプラザ」を3店舗(堺、東大阪、大阪鶴見)、ハーレーダビッドソンの正規ディーラーを2店舗(東大阪、奈良)運営。さらにベース店と呼ばれ、多彩なメーカーの新車中古車や、カワサキ旧車の販売&修理を行う「八尾カワサキ 本店」、コミューターを扱う「ホンダヤオ」「ベスパ大阪東」という計8店舗を経営している。
創業は1977年。この半世紀近く、まさに激動のバイク史とともに八尾カワサキは併走してきた。カワサキの販売店からスタートして、1982年には関西で初めてカワサキの逆輸入車を扱い、全国に名を馳せた。1997年には、もう一つの柱であるハーレーの正規販売店をスタート。2010年代からホンダとベスパの店舗を出店している。
そして2016年12月、全国に先駆けて初のカワサキプラザである「カワサキプラザ大阪鶴見」をオープン。今では各地にカワサキプラザが展開されているが、第1号の大阪鶴見をモデル店にスタートしているのだ。このように八尾カワサキは常に成長を続け、現在に至っている。
思わず圧倒されてしまうスケール感だが、働く側にとって大きな安心感につながるはずだ。もちろんサービス(メカニック)、営業スタッフともに質が高く、コンテストで受賞経験のある社員が在籍。八尾カワサキは数多くのお客様から愛され、ファンを生み出し続けている。
今、その舵取りを担っているのが、2024年7月から代表取締役社長に就任した加藤 宏さんだ。創業者はカワサキのテストライダーを担当していたお父様で、加藤さんは3代目社長にあたる。以前から八尾カワサキの取締役として運営方針や人事などの重責を担い、成長を支えてきた。
代表取締役社長の加藤 宏さん(53歳)は、創業者である父の影響もあり、16歳で二輪免許を取得。エリミネーター250を皮切りに数々のカワサキ車を乗り継いできた。同時に、会社の成長をそばで見守り、マネージメントやリーダーシップに関しても一流のビジョンをお持ちだ。
取材に先立ち、八尾カワサキの企業サイトを拝見してみると、他のバイクショップではなかなか見られない、「志の高さ」を謳う経営理念や行動指針がしっかり定められていて驚いた。
加藤社長:これは経営者や主要なスタッフと集まり、2003年頃につくったものです。3日ほどかけて話し合いました。バイクを通じて人生をより楽しく豊かにすることで、「会社」「スタッフ」「お客様」が長期的に幸せになり、関係者や地域の方々にも広がるようにしたい。そんな弊社の存在意義を込めた理念になっています。
その中にも書いてありますが、弊社はバイクを単なる乗り物ではなく“人生を楽しむ一つの趣味”として捉えています。二輪業界が縮小したとしても、趣味の分野としてのバイクは安定していると考えているので“楽しむ”ことは今後より重視されていきます。我々としてはモノとしてのバイクというより“楽しみを、安心を販売していく”という姿勢ですね。
加藤社長:弊社で働くメリットの一つは、業界歴20年以上のベテランスタッフが数多く在籍していることです。ハーレーテクニシャンコンテストで入賞したスタッフの高い技術力から学びを得ることができます。また、カワサキのベストコンシェルジュ優秀賞のスタッフを擁し、接客においても高度なスキルを学べます。
もちろんバイクという趣味を存分に楽しめる職場です。業界でトップクラスの社内販売制度があり、安く車両やパーツなどが購入できます。定額でレンタルバイクを利用できるほか、ツーリングやモトクロスなどのレクリエーション、食事会も定期開催しています。
そして何より、みんなに相談しやすく、支え合うことで働きやすい環境づくりを心がけています。昔はそんな環境ではない面もあったのですが、スタッフの意識改革をしたり、私が率先して行動することで、どんどん変化していきました。今すごくいい雰囲気を作れています。
「各店に20年以上在籍しているスタッフが多いのは、話しやすい雰囲気があり、スタッフ同士で相互に影響しあっているため、居心地がいいからなのかもしれません」と話す加藤社長。
加藤社長:特に重視しているのが新人のサポートです。業界20年以上の知識豊富なスタッフが3か月間メンター(専属担当)として就き、その場で何でも聞けて、話しやすい体制を敷いています。
中途採用で入社される人はもちろん、特に新卒で初めて社会に出る場合、ものすごくしんどいと思うんです。だから、しっかりしたサポート体制を導入しています。今年4月に新人3人が入社しましたが、半年でかなり成長して楽しく仕事していますね。
求人募集する背景を教えてください。
加藤社長:成長に合わせて店舗の拡張と増店を検討しているため、店舗、経験を問わず八尾カワサキ全店での整備・営業スタッフを募集します。
中でも来ていただきたいのは、ハーレーダビッドソン東大阪の“サービス(整備)マネージャー候補”になってくださる方です。先程20年以上在籍している社員が多いと話しましたが、一方でマネージャー候補となる勤続10年程度の方がやや少ないのが現状です。
店に対し、サービス一人ひとりがもたらす安定感はすごく大きいです。ただしハーレーは、カワサキなどのブランドよりも育成に時間が少しかかるんですね。年式やカスタムなど車両の個体差も大きいですし、センスを問われたりと、外国車ならではの難しさがあるからです。
もちろん、その分面白さとやりがいがあり、発想力で美術品のようなバイクを造ることもできる業務です。今回は特にハーレーの整備に興味があって長く勤めてくれる人に来ていただきたいですが、ブランド、経験を問わず幅広い方に来てほしいです。
求める人物像はありますか?
加藤社長:ブランドによって少し求める人物像が異なりますが、共通しているのは“助け合える人”ですね。誰かが困っていたり、何かを求めていたりする時に、ちょっと手を差し伸べたりするじゃないですか。これを仕事でも率先してやれる人じゃないと成長しにくいと思うのです。“人に興味関心がある人”と言い換えられるかもしれません。
そして、ポジティブで明るい方、素直な方ですね。一緒に仕事をしたいのはそういった方ですし、やはりネガティブな考えの方は、仕事の幅が縮んでいきがちですから。
経験者は優遇しますが、知識や経験は問いません。人柄の方が大事です。実際、免許を持っていない方も採用しています。営業に関しては、バイクにさほど興味がなくても接客が好きな方なら問題ないです。恐らくそういう方は、お客さんが喜ぶ姿が好きで、共感を得られるはずです。徐々にバイクについても詳しくなっていくと思います。
入社後のキャリアアップはどんな感じになりますか?
加藤社長:従来は年功序列でキャリアアップしていくケースが多かったのですが、今は若い人を店長や工場長といったマネージャー職へ積極的に登用しています。
サービスは特に若い人たちの力や感性が大事です。一方で、長く勤めているベテランは、若い人の横について、技術や知識を伝えていくスーパーバイザーの役割を担ってもらっています。こうした体制によって、組織の新陳代謝が起きると考えているのです。
ベテランはこうした体制を望んでいると感じますし、若いスタッフは少し不安ながらもやってみようと奮起している感じです。新卒4年目でマネージャーとして活躍している女性スタッフも現におります。
今後の目標を教えてください。
加藤社長:まずやりたいのは今の環境をよりよくしていくことです。中古車やレンタルバイクをもっと増やすこともそうですし、よりサービスが働きやすいように店舗を拡張するなど使い勝手を改善していきたいと考えています。
それとスタッフの健康面や家族に対してできることを考えたら、いっぱいあるんですね。やっぱり健康第一じゃないですか(笑)。課題を改善して、より働きやすい職場にしていきたいです。
2020年4月入社した氏本悠介さんは大阪出身の25歳。高校卒業後、整備の専門学校に通い、2級整備士の資格を取得した。今は結婚を控えて多忙だが、愛車のNinja400でロングツーリングに出かけるのが趣味。
氏本さん:カワサキが好きだったこともあり、カワサキのコースがある整備の専門学校に進学しました。八尾カワサキを知ったのは、専門学校時代に企業説明会に参加した時です。なんとなく東大阪にカワサキとハーレーのショップがあることは知っていましたが、まさか自分がそこで働くことになると思っていませんでした。
興味を惹かれたのは、お客様とのやりとりが多く、つながりが楽しそうな職場だなと思ったからです。ツーリングやイベントを多数開催して、お客様との距離がいい意味で近い印象を受けました。面接してくださった加藤社長もフランクで接しやすく、“ここで働けばイキイキと楽しく仕事できるのでは”と感じたのが入社の決め手になりました。
実際に入社してもイメージどおりでした。サービスの仕事は「裏方でお客様と接する機会が少ない」と思っている方も多いかもしれませんが、八尾カワサキではお客様との距離が近いです。昔からの常連さんも多く、ただ作業をするのではなく、仲を深めて、お客様との信頼関係を築けるのが特徴です。黙々と作業するのも効率的ではありますが、お客様と話して関係を深めることが大事ですし、楽しいです。
入社当初の様子を教えてください。
氏本さん:入社から3か月間、先輩が基本的に付きっきりで仕事を教えてくれました。初めて触わる作業でもベテランの先輩が横にいるので安心して取り組めます。その期間だけでも大きく成長できたなと感じます。
入社半年ほどで自分一人でも点検や簡単な修理を担当できるようになり、どんどん仕事の幅が広がっていきました。約1年で大まかな作業はできるようになったかなと思います。
残業に関しては、急なトラブルが発生した場合、20~30分程度することもありますが、基本的に定時で退社しています。シーズンによって波はあるものの、スケジュールは無理がないよう組まれているため、休日に出てきて残業をすることもありません。
職場はどんな雰囲気ですか?
氏本さん:課題や問題を「みんなで解決しよう」とするスタッフが集まっているので、一人で問題を抱え込み、ストレスがたまることがないです。私の働いている店舗で解決できそうにない場合は他の店舗に助けを求めることもできます。グループを通して働きやすい環境なので「周りがやってくれるから自分も返そう」という恩返しのサイクルがありますね。
正直、仕事を辞めてしまう原因の一つが、悩みを一人で抱え込んでしまうことだと思うんです。弊社では、話しやすく、悩みを相談できる人が揃っているので、“この職場が合わない”という人はあまりいないはず。それぐらい働きやすいと感じています。
働きやすさという点で、休日や給与などの待遇面はどうですか?
氏本さん:満足していますね。休みに関しては、月に1回、自分で休みたい日を選べる有給の「振替申告休」があります。有休が取りにくい雰囲気もありません。バイクショップは土日が休みにくい場合が多いですが、前もって言っておけば土日も休めますし、定休日と組み合わせて連休にすることもできます。
給与面に関しても不満はないです。整備士資格やイベントなどでの手当が充実しているので、個人に合わせたプラスがあるのが嬉しいです。
キャリアの展望や今後の目標を教えてください。
氏本さん:私は入社6年目になり、後輩もいます。後輩たちも先輩の真似をして成長していく過程にいるので、私が後輩を引っ張っていく存在になりたいです。
いま八尾カワサキにある「話しやすい環境」は働いていく上で最も重要と言っていい条件の一つ。これを活かして私自身も成長していきます。将来の目標は工場長になること。今の工場長は、会社を超えた広い人脈を持っており、それが作業面での問題解決につながっています。私も30歳ぐらいまでに人脈を広げていきたいです。
城井仁至さんは2020年7月に入社した45歳。入社2年目でゼネラルマネージャーとなり、カワサキプラザ東大阪の店長を務める。1年を通して、全国のカワサキプラザのお客様からアンケート評価が良かったセールススタッフが選ばれる「ベストコンシェルジュ」の優秀賞を2023年度に受賞。
城井さん:若い頃、車の整備士として2年間勤務した後、ずっとハーレーの正規販売店で営業をしてきました。前職は、給与や休暇など様々な面で変化があり、自身に合わなくなってきました。同僚や仕事内容は非常に良かったものの、転職を決意しました。40歳という年齢の節目もあり、このタイミングで新しい環境へ挑戦しようと思ったのです。
八尾カワサキとは面識がありましたし、評判がよかったのが決め手になりました。同じ業界にいると、お客様から様々なバイク販売店の評判を聞くのですが、最も評判がよかったのが八尾カワサキでした。
カワサキのベストコンシェルジュ優秀賞を受賞できた理由を教えてください。
城井さん:以前のハーレー店で培った接客スタイルをそのままカワサキのお客様に対して行ったところ、それが非常に良い評価につながったと感じています。国産バイクとハーレーではお客様の層や商品の受け取られ方が異なるため、同じ接客でもカワサキのお客様により響いたのではないかと分析しています。
カワサキはアンケートを積極的に実施しているため、お客様の声が届きやすかったのかもしれません。このように評価が結果として返ってきたことは、やはり嬉しかったです。
店長として新人を指導される立場ですが、心がけていることはありますか?
城井さん:現職で初めて管理職としての教育を意識したので、まだまだ未熟ですが、特に気を付けているのは、押さえつけず、なるべく自発的に行動できるよう話をすることです。また、噛み砕いて説明したり、自分なりに分かりやすく伝えてみたりして、なるべく受け取ってもらいやすい言葉を選んでいます。
マネージメントの立場で心がけているのは、自分をブレずにしっかり持つことですね。スタッフによって言うことが一貫していないと信頼を得られません。自分が模範となることも大事です。社会経験がほぼない若いスタッフが、当店のメイン層である40~50代のお客様と失礼なく話せるよう、まず自分が模範を示す必要があります。信頼される存在となり、自分の言葉が響く人にならなければ、人は育ってくれません。
今後の目標はありますか?
城井さん:在籍しているスタッフや、これから入社してくるスタッフに自分の知っている様々なノウハウを引き継いでいくことです。50代が近づいてきましたし、いつ死ぬかわからへんじゃないですか(笑)。それはともかく、他部署に異動する可能性もあります。ラーメン屋さんみたいに「店長が変わったから味が落ちた」と言われないようにしたい思いがありますね。
ただ、次の柱になってくれる人をまだつくれていません。だからこそ、長く勤められて、長く一緒に働ける仲間が欲しいなって思いますね。
転職後、今までの経験が正しかったと確信するまで、不安感が勝っていたと思うのですが、その壁をどうやって乗り越えたのですか?
城井さん:転職回数が多くないので、転職そのものにも結構な不安を持っていたのですが、仕事内容よりも以前から在籍しているスタッフたちに受け入れてもらえるかどうかが不安でした。やっぱり行動で何かを示さないと、周りは信頼してくれないだろうと思い、最初の1年で「絶対に売る台数」を自分の中で決めたんです。
普通ではなかなか到達できない数字だったのですが、カワサキの調子が良かったこともあり、なんとかクリアできました。気づいたら周りのみんなに認められたというか、自然に打ち解けていました。そのうちお客様からも認められ、ベストコンシェルジュ賞をいただいて今に至ります。がむしゃらにやって、やる方向さえ間違えなければ結果は出るし、努力を評価してくれる職場だと思います。
転職先が良かったと言えばそれまでかもしれませんけど、結果的に色々な面で良くなりました。新しいことに挑戦させてもらえて、ハーレーだけではない新たな視点も持てたので、一歩踏み出して正解でした。これから転職を考えている人たちは恐れずにチャレンジをしてほしいと強く思いますね。
ハーレーのメカニックで最高峰のマスターテクニシャンにして、整備のリーダー“サービスマネージャー”を務める森 貴司さん。2002年に中途入社した50歳だ。2024年、ハーレーダビッドソンの整備士で日本一を決める「マスターテクニシャンオブザイヤーアワード」(MTOYA)で2位を獲得した。愛車はXLCRだ。
森さん:前職は地元の静岡で外国車全般とハーレーの整備を手がけていました。より深くハーレーに関わる仕事がしたくなったのと、正規販売店に勤めたくなったので、知人のつてもあり、八尾カワサキに転職しました。
正規販売店とカスタムショップの違いは、やはり正式な情報を得られること。研修でアメリカ本国に行けるなど得られる経験も違います。
この会社でサービスのスキルを上げることができ、昨年、ハーレーの「マスターテクニシャン オブ ザ イヤー アワード」で2位を獲得できました。やはりキャリアを重ねると、良くも悪くも仕事に慣れてしまうじゃないですか。そんな中、コンテストがあることで刺激になりますし、自分を奮い立たせることができます。お店のPRにもなるのも嬉しいですね。
もちろん、ゆくゆくは優勝を目指したいです。ちなみに今年は決勝戦をオーストラリアで開催することになったので、今後入社してきた方もいずれ招待で海外に行けるかもしれません。
八尾カワサキの特色はありますか?
森さん:営業とサービスの連携が取れているのが特徴です。他のディーラーでは両者が噛み合わないことが多いと聞きますが、八尾カワサキではそんなことはありません。スタッフ同士で話しやすい雰囲気がありますし、部署ごとではなく、時々会社全体のミーティングを行い、ディスカッションの場を設けているのが理由だと思います。
仕事で心がけているのは“人を相手にしている”意識を持つことです。触るのはバイクですけれど、そのバイクのオーナーさんは人です。やはりオーナーさんが喜ぶ姿をイメージしながら、バイクを触るのがすごく大事ですね。人を見ないと、どうしても独りよがりになってしまいがちですから。そのためにはお客様と話し合い、要望や好みを把握することが必要です。特にハードカスタムや突っ込んだ整備ほど重要になってきます。
ハーレーとそれ以外でのメカニックでは違いがありますか?
森さん:国産車とハーレーの違いはもちろんあります。ハーレーならではの独特なポイントに壁を感じている人も多いですが、私からすると国産の4気筒よりハーレーの方がよっぽど簡単です。ハーレーは構成がシンプルですし、機械が好きであれば務まる仕事なので、敷居はさほど高くないと思います。
長年勤務されていますが、働きやすいポイントを教えてください。
森さん:作業環境にストレスがないです。そして、意見が通りやすく、今までやったことがない業務内容でも、柔軟に対応してくれるところですかね。
会社が全部決めていて、それにスタッフがはまっていく職場ではありません。V-RODのミッドコントロールステップなど、自分が開発した部品をオリジナル商品として量産し、販売実績が取れたケースもあります。
仕事がやりやすい環境をつくれて、やりがいも大きいのが、居心地がいい理由ですね。
サービスマネージャーとしての理想像はありますか?
森さん:仕事を分業して、その仕事が得意なスタッフにやってもらう体制を整えたいです。若いスタッフも得意分野に携われた方が楽しいし、やりがいがあるはずです。ただ、それを徹底するにはスタッフの人数が必要なので、人を育てて人財を揃える必要があると思っています。
現在、ハーレーダビッドソン奈良のサービスは、マネージャーの私を入れて3人。部下の2人はタイプが違うので、仕事の内容を吟味した上で振り分けています。もちろん新人に対しても適性や内容を見極めた仕事をしてもらいます。その中で少しずつステップアップしてもらえれば、と考えています。
マネージメントの意識が芽生えたきっかけやモチベーションを教えてください。
森さん:メカニックを続けていくと、どうしても“職人寄り”の考えになる方が多く、マネージメントの意識については難しい質問ですね。私の場合は徐々にマネージメントの視点ができましたし、やはり数字を上げられたという達成感に行きつくと思います。
数字を上げるためにマネージメントは必須ですし、手を動かしてもらっているスタッフのモチベーションを上げる演出も必要になってきます。それは先程も言いましたけど、達成感がある業務内容を意図的に割り振って、一緒に考えたりします。それが上手くいった時には私自身も達成感がありますし、部下が喜んでいる顔を見ると一緒に喜べます。
八尾カワサキに就職を検討している人へのメッセージをお願いします。
森さん:メカニックは技術職ですけど、技術は後からついてくるので、コミュニケーション力や誠実さの方が大事です。なので人が好きな方が向いていますし、伸びると思いますね。
また、弊社は資格取得支援が充実しています。未経験でも、整備士資格の取得サポートがあるので、入社後に仕事をしながら取ることもできるので安心です。
中野博史さんは1998年に中途入社した54歳。ハーレーダビッドソン東大阪、奈良を統括する副部長のポジションを担う。機械や古いバイク&クルマが好きで八尾カワサキを選び、今年で入社27年目を迎える。
中野さん:元々バイク、クルマを問わず機械やクラシックなものに興味があり、レストアなど旧車をよみがえらせる仕事がしたいと考えていました。
整備士の免許は持っていたのですが、レストアやカスタム系で新卒を採用してくれる会社はなかなかありませんでした。その点、ハーレーはハードなカスタムもできるし、旧車を扱うチャンスもあります。自分の希望が叶うと思ったのが八尾カワサキに入社する決め手でした。
今は入社27年目で、去年から八尾カワサキの副部長に就任しました。ハーレーの正規販売店としての役職はゼネラルマネージャーになり、対外的には八尾カワサキの“ハーレーダビッドソン事業部長”みたいなポストです。店舗マネージャーの上の立場として、ハーレーダビッドソン奈良および東大阪をマネージメントしています。
転職後、どのようにキャリアアップしていったのですか?
中野さん:入社時は一般のサービス職から始まって、チーフ職になった後、私の場合すぐに店長職を担当しました。そこからサービスマネージャーを経て、ゼネラルマネージャーになりました。
サービスマネージャーから上のキャリアアップとしては、店長などのマネージメント職か、サービスのスペシャリストになる道があります。スペシャリストはまさに専門職で、会社に利益をもたらすパーツを製作・販売するプロジェクトを立ち上げたり、社内サービスの育成を担当したりする仕事です。個性に応じてキャリアアップできる仕組みがあります。
マネージメントの意識が芽生えたきっかけは何かありますか?
中野さん:数字への意識ですかね。サービスだと、就労時間や工賃に対して、作業の効率、早さを見ながら評価につなげていますが、ムダなことをやめれば数字が上がります。このようにセルフマネージメントで自分のスケジュール管理から始め、数字で自分のやっていることを意識することからマネージメントの面白さが出てくるのかなとは思います。
あとは仲間意識を通じて「このスタッフのスキルを上げるにはどうしたらいいのかな」と考えることもきっかけの一つですね。
サービスマネージャーに必要なスキルや能力はありますか?
中野さん:リーダーシップ、あとは周囲をどれだけ巻き込んでいけるか。これにはコミュニケーション力が大事ですね。失敗は誰しもしますが、失敗した後どうするかが大事。明るく前向きに、失敗を隠さず周囲を巻き込めることが必要だと思います。
職場はどんな雰囲気ですか?
中野さん:話しやすい雰囲気ですね。社長の加藤をはじめ、「俺は責任者やぞ」みたいな人がいません。扱っているバイクという商品がお客様を楽しませるものですし、社内では堅苦しい役職ではなく、名前で呼び合っています。そのためか話しやすい雰囲気はあると思います。
どんな人が向いていますか?
中野さん:2輪・4輪を問わず機械ものが好きな方、アメリカンカルチャーが好きな方、ハーレーを通してお客様とともに楽しむバイクライフを送りたい方ですね。来ていただきたいのは、先程も申しましたが、コミュニケーション力がある人です。ハーレーのサービスはお客様と話す機会が多いですし、スタッフ、メカニックの友人などのつながりも重要です。
ハーレーというブランドはとても魅力的です。「ブルースカイヘブン」などのビッグイベントで、日本全国からたくさんのお客様が集まって楽しんでいる様子は、自分が携わるブランドの力を実感します。ハーレーファンは、普段の生活からハーレーの服装やグッズに囲まれて、ちょっと阪神ファンに通ずるところがあるんですけど(笑)、お客様の笑顔を見ると凄くモチベーションになりますね。
今後の目標をお願いします。
中野さん:仲間を増やすことです。次を担ってくれる人たちを育て、同じ志を共有してくれる人たちに一人でも多く来て欲しいです。
特にクルマのディーラーで整備の技術を持ち、好きで整備士をやっていたのに、数年でサービスフロントか営業を任されて悩んだり、辞めたりしてしまう方が世の中に多いと感じています。そういう方で“まだまだ現役で整備やりたい”“バイクを触りたい”という方がもっと二輪業界に来てくれたら嬉しいです。
JOBIKE編集部より
インタビューしたスタッフが口を揃えて「来てほしい人に求めるのはコミュニケーション力」と話していた。お客様や同僚が何を望んでいるのか聞き出すことは、仕事の基本でもあり、最も重要なポイントの一つだ。これは、社長が仰っていたように「明るく、ポジティブな方」という言葉に集約されるのかもしれない。
また「話しやすい職場」であることも共通していた。人と人の距離感が近く、気軽に話せる雰囲気。これは、物腰の柔らかい加藤社長自らの人柄そのもののようにも思えた。
そしてメンター制度は、新卒や他の業界から転職する人はもちろん、別のバイクショップで勤務経験がある人にとっても実にありがたい。同じバイクという商材を扱うにせよ、店ごとに勝手が大きく違うからだ。
とにかく「人」を大事にしている企業だ。その姿勢は、インタビューした方々からはもちろん、たまたま取材中に垣間見た光景からも窺えた。外でお客様がバイクを受け取り、走る準備をしている間に雨が降ってきた。するとスタッフが、シートが濡れないようタオルを被せて、お客様を待っていたのだ。スタッフの機転だったのだろうが、これほどお客様を大事にする店はそうあるものではない。
こんな店なら客として通いたくなるのは間違いない。そして、末永く愛され、続々と新しい客が定着することで会社が伸びていく。スタッフが持つ「人」を大事にする力の積み重ね。これこそ八尾カワサキが成長し続けている理由だろう。飛び込んでみる価値は十分あるはずだ。
JOBIKE編集部より