取材協力:アンフィニグループ 取材:村田奈緒子
掲載日:2025/05/07
ヤマハのスポーツバイクを専門に扱うYSP(ヤマハモーターサイクルスポーツプラザ)は、ヤマハを熟知した高度なスタッフが接客から整備まで行うプロショップ。アンフィニスポーツは1989年に千住店で創業し、現在は関東圏と福島の4都県にYSPを6店舗展開。2024年夏には、さらに幅広いニーズに応えるべく、『トライアンフ郡山』『アプリリア/モトグッチ/ベスパ つくば』をオープンし、計8店舗でバイクユーザーにサービスを提供している。今回は新たな扉を開いたアンフィニグループを訪れ、同グループの働き方や近年の取り組みなど、働く環境について重点的に話を伺った。
2000年に未経験で入社し、現在は代表取締役社長を務める小田林和彦さん。48歳とフレッシュで物腰の柔らかい小田林さんに、まずグループの歴史と特徴を伺った。
小田林代表:1989年、千住の地でヤマハスポーツモデルを中心に手掛けるバイクショップとしてアンフィニスポーツは創業。その後1998年にYSP千住としてリニューアルオープン。これがアンフィニスポーツ初のYSP店となり、私はこの頃に入社しています。以後、数年ごとに店舗を増やし、近年では2019年にYSP京葉、2020年にYSP福島がアンフィニグループに加わりました。これで1都3県、合計6店舗のYSPを運営することになりました。
2024年8月には『トライアンフ郡山』『アプリリア/モトグッチ/ベスパ つくば』をオープンし、これまで培ってきた経験を活かしながらさらに幅広いお客様に喜んでいただけるよう取り組んでいます。
小田林代表:グループの特徴として、創業当初からメカニック(整備士)とセールスマン(営業)を区別せず「営業・技術」として一人のスタッフが両方を兼ねるというスタイルで営業しています。整備士としてバイクを理解することでお客様への深い提案やフォローが生まれ、それがお客様との良い関係性を育むと考えているからです。
ご入社時には、営業/整備 のご希望をもっていただいて問題ありませんが、入社後には営業志望の方にもいずれは整備士の資格を取得して欲しいと考えていますし、整備士志望の方にもお客様と接する機会をつくり、営業ノウハウも高めてもらいたいと考えています。
営業と整備の両立と聞くと、少しハードルが高いように感じるかもしれませんが、弊社の多くのスタッフは未経験からのスタートです。キャリアの有無を問わず、入社後は3ヶ月ほど研修を受けていただき、電話の受け答えや商談の仕方、バイクをトラックに積む方法など、あらゆる場面でしっかりサポートしますので、安心して経験を積んでいってください。
小田林代表:私たちは、お客様に質の高いサービスを提供するために『社員第一』を掲げて運営をしており、残業もほとんどありません。スタッフの待遇を充実させ、心身ともに健やかに業務に励んでいただけるよう、今後も働き方をアップデートしていこうと考えています。
複数店舗を展開していますが、スタッフからの要望がない限り店舗間での異動や転勤はありません。転勤の心配をすることなく、じっくりと希望のショップで実力を発揮していただきたいと考えています。
小田林代表: 現在のスタッフは約半数が未経験で入社し、成長しています。実は私も、入社時はバイク販売店の経験は全くありませんでした。入社後にセールスとして働きながら、整備の経験を積み資格を取得したのですが、セールスとしての売上向上やお客様との信頼関係の構築など、今となってはどちらもできるようになって本当に良かったと思っています。
整備士の資格を持っている方や他店でメカニックの経験がある方も、当社にご入社されたあとに営業技術を身に着けていただきます。難しく思えるかもしれませんが、私自身の経験も踏まえて社内の制度にフィードバックしているので、安心してアンフィニスポーツの門を叩いてください。
小田林代表:アンフィニスポーツではお客様と個人的な付き合いをする機会がよくあります。一緒にツーリングしたり、飲みに行ったり、お客様と少し友達づきあいに近い感覚があるので『人と人のつながりを大事にできる方』が向いていると思います。そして、日帰りから1泊イベントなどツーリングイベントのほか、毎年9月にスポーツランドSUGOで開催している走行会も人気です。準備など大変なこともありますが、こうしたイベント時にはいちバイク好きとしてスタッフ自身も存分に楽しんでほしいと思っていますので、楽しさを共有してさらに盛り上げることができる方と出会いたいですね。
18年以上、YSP千住などの店長を務める榊原さん(47歳)。 お客様とは共にバイクを満喫しながら、おもてなしの精神で臨んでいる。
榊原さん:25歳頃までシステムエンジニアをしていましたが、趣味のバイクを仕事にしたいと思い、入社しました。全くの未経験でしたが入社後に勉強し、2007年からは千住店の店長を任せてもらえるようになりました。仕事ができるようになったから店長になったというよりは、「店長」という肩書きを与えて、もっと私を成長させようとしてくれた会社側の思惑もあったと思います。その期待に応えるべく、日々の業務に向き合ってきました。
榊原さん: 職場環境に関しては、私が入社してからどんどん働きやすく変化してきました。数年前までは第1第3火曜が休みだったのですが、今は月火が定休日になりました。子どもが春休みや夏休みの時は平日に家族で出かけられますし、有給休暇も取りやすいので、しっかり休めます。昔を思い出して「こんなに休んでいいんだっけ?」と思う時もありますが、仕事と家庭を両立させていく今の世の中の流れにも合っていると思います。
榊原さん:この業界での仕事は、自分でバイクを楽しみつつそれをお客さんに伝えられる、とてもいい仕事です。未経験の人も勉強しながら、ぜひやってみてほしいです。一般的なバイク販売店は整備とセールスの役割が分担されていますが、アンフィニスポーツではどちらも兼任します。他のバイクショップでの勤務経験を活かしていただけるところもありますし、未経験の方でもしっかりステップアップできる環境がありますので、即戦力の人もこれから育っていく人も、バイクが好きで、お客様と話すのが好きな方であれば、ぜひご応募ください。
高校卒業後に入社し、YSP千住店のスタッフとして1年ほどになる竹部太亮さん(19歳)にお話を伺った。
竹部さん:祖父が車やバイクが好きでその影響もあり、学校で見つけたアンフィニグループの求人をみて『これだ!』と思いました。しかし父がバイクで事故をしたことがあるため、家族からは反対されました。とくに母からの反対の声は大きく……。でも諦めるわけにはいかないと、半年かけて両親を説得して入社が決まりました。
竹部さん:私の場合、「働く」ということ自体が未経験だったので、ハードなことや日々学ぶことも多いです。でも、自分の好きなことに携わる毎日がとにかく楽しくて、お客様とのやりとりを含め少しずつできることが増えて、達成感も感じています。最近、あれだけ反対していた母が「勤めだして、顔がイキイキしている」と言うようになり、充実した仕事に巡りあえたことを喜んでくれ、応援してくれています。
今春で入社して2年目となりますが、まずは3級の整備士資格を取得できるように勉強したいと思っています。またアンフィニグループはバイクイベントも多いので、まずは自分のバイクを手に入れたいですね。そして少しずつ装備も揃えていって、お客様と一緒にサーキット走行会を楽しみたいと思っています!
YSP墨田に勤務している、寺井洋介さん(39歳)は2015年に入社。高校を卒業後、職業訓練校で整備士の資格を取得し、営業・技術スタッフとして活躍してきた。2024年秋にYSP墨田の店長に就任したこともあり、働き方や意識の変化を伺った。
寺井さん: 前職は7年ほどバイクショップに勤務していましたが、アンフィニスポーツがちょうど募集しており、規模の大きさや安定感に惹かれて応募しました。
入社した第一印象は、「すごくちゃんとしている会社」でした(笑)。当時から制度や待遇が充実していた印象ですが、入社後にも就業環境は大きく変わり、休みも増えました。休みが増えた一方で給料も上がっているので、実質的な給料は相当上がっているはず。福利厚生で仕事を選ぶ人も多いですが、その点でもアンフィニスポーツは強みがありますね。
寺井さん:店長になって変わったことは、事務仕事が少し増えたことと、整備士と営業の割合が8:2だったのが7:3と少し変化したことぐらいです。
僕は生涯バイクに触っていたいと思うほどのメカオタクなのですが、実は、店長の打診を受けた時に、仮に店長になっても整備に心血を注ぎたいと、社長に直談判したんです。すると『じゃあ、やってみよう』と僕の思いをを受け入れてくれました。
キャリアを積んで管理職になるのが嫌で、あくまで現場メカニックとしてありたいと転職を繰り返す同業の友人もいますが、僕のようなメカオタクがバイクショップでキャリアを重ねながら、接客もこなし店長としても仕事をするという、ひとつのモデルケースになれるといいなと思っています。
寺井さん:YSP墨田店はお客様との距離が近く、趣味性の高いバイクを好む方が多いです。オンロードとオフロード、両方の層がいらっしゃって、趣味性の高さゆえにバイクの知識や話題などかなりディープな部分もあります。というお話をすると、勤めるにあたって「敷居が高いのでは?」と心配になる方もいるかもしれませんが、安心してください。バイクが好きという共通点さえあれば問題ありません。
寺井さん:アンフィニグループは会長や社長をはじめ、いい意味で上下関係が強くない会社です。先ほど話したように意見を伝えれば一緒に考え、チャレンジしてみようと言ってもらえることも多く、その寛容な経営スタイルも大きな魅力のひとつです。入社後は臆することなく、どんどん自分なりの意見やディスカッションを行なってください。より良い働き方、なりたい自分の実現に向けて、一緒に取り組んでいきましょう。
近年は、興味や好奇心を持ってアンフィニグループに入社してきた、若いスタッフも増えています。バイク業界で働いたことがないというだけでなく、バイクの免許も持っていないという状況でも、1%でも興味をもったなら、ぜひ飛び込んできてほしい!僕自身もそうした若い世代のスタッフやお客様と共に、より豊かなバイクライフを模索していきたいと思いますし、店長という役職の中で出来ることを探求したいと思っています。
JOBIKE編集部より
JOBIKEを見て応募したというスタッフも活躍中だというアンフィニグループ。創業36年ながら、店舗数の多さや時代に適ったサービスを柔軟に展開する姿勢は、未経験の若いスタッフも大いに魅力を感じる部分があるだろう。
スタッフ同士の関係性も良く、特に印象的だったのは千住店のスタッフ・竹部さんにインタビューしているときのやり取り。竹部さんが「まだまだ辞めるつもりはないです(笑)」と語った瞬間だった。その隣には業務に励む榊原店長がいるにも関わらず、竹部さんは冗談っぽく笑いながら軽やかに言ったのだ。私としては、入社1年目の若手が上司の隣でそれを冗談でも言えるのかと少しヒヤリとしたのだが、間髪入れずに店長は「そりゃ、いろいろまだまだ覚えてほしいのに辞められたら困っちゃうよ(笑)」と返したのだった。そのやりとりを見て「上司」「部下」という関係ではなく、同じ店舗で働く仲間としての信頼関係ができていることを感じた。
竹部さんは、他店の従業員とも気軽にコミュニケーションが取れることで、グループの一員であることを感じられ、安心感にも繋がっているとも仰っていた。墨田店の寺井店長は「会長や社長にゴハンに誘われたら一緒に行って、その席でどんどん意見を伝えるようにしている。」とも語っておられ、店舗間の壁や役職による壁が良い意味で薄く、風通しの良い企業体質なのだと感じられた。
言うは易しだが、年齢やキャリアを越えた職場での関係性構築には、難しい面もある。しかし代表をはじめ、店舗や役職の異なる様々なスタッフへのインタビューを通して、アンフィニグループにおいてはその悩みはないのだろうと感じた。
代表ご自身が未経験からキャリアをスタートしたこともあり、従業員の育成も丁寧な印象がある。これからのアンフィニグループを担ってほしいという思いから、就労環境の改善や効率化などにも積極的な同社は、「未経験でも飛び込みたい!」という熱意を受け止めてくれるバイクショップとしては最適ではないだろうか。
JOBIKE編集部より
アンフィニグループ
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