取材協力:モトウイング須賀 取材:村田奈緒子
掲載日:2025/03/13
東京都板橋区の中山道沿いにある『モトウイング須賀』は1960年(昭和35)に創業。3代目とスタッフ3名の運営で、Honda専門バイクショップを営んでいる。
帝国データバンクの2024年データを見ると、全業種のなかでも二輪自動車小売の休廃業・解散の増加率が1番だ。さまざまな要因があるとはいえバイクショップにとって厳しい現状があるわけだが、そんな外部環境の中でも『モトウイング須賀』には2024年に新しい女性整備士もスタッフに加わり、組織づくりも強化されている。さらなる理想に向かって、一緒に助け合えるスタッフを引き続き募集中。
2022年に改装リニューアルしたというショップは明るく、モダンな雰囲気。ニコニコと出迎えてくれた3代目代表取締役社長の須賀譲之助さんと名刺交換。須賀さんの満面の笑みで場がほっこりしたところから、今回の取材は始まった。
「モトウイング須賀は、私の祖父である創業者、須賀進之助が目黒区の須賀自動車から独立し、板橋区に須賀サイクルを開業したのが始まりです。それが1960年(昭和35)で、そこから私の父が1990年(平成2)に2代目社長に就任。そして私が3代目として2017年(平成29)に継承して現在があります。
私たちは創業当時から、『WHEN YOUR SATISFIED WE’RE SATISFIED(お客様の満足が我々の満足です)』という社是を掲げ、営業よりも技術に尽力してきました。売りっぱなしではなく、購入後のメンテナンスまで真摯に丁寧に向き合うことで、お客様と長いお付き合いをさせていただくことを心がけてきました。
店長の鐘築も、その1人。彼のお父さんがうちのショップのお客様で、お父さんに連れられて小学生の頃からモトウイング須賀に通っていました。学生時にアルバイトで入り、そのまま正社員になって…、いまはモトウイング須賀の店長です」
2017年に現在のビルに建て替えがあり、2022年には改装リニューアルも実施。明るくクリーンな店内の雰囲気も評判がよく、さらに昨今のバイクブーム時で流通台数が追いつかないときもスムーズに車両提供をかなえることができたため、女性ライダーや遠方からのお客様も増えたという。
「他店との差別化としては、オリジナルのアースカラー仕様モデルや純正オプションなどを備えたライトカスタムモデルも展開しています。とはいえ、なにかカテゴリーに特化したバイクではなく、オールマイティなラインナップと提案販売、そして整備メンテナンスというバイクショップの基本となるベースを強固にしています。
個人のお客様はもちろんですが、法人窓口も強化。近隣企業さまの定期的なバイクメンテナンスも請け負っているため、より安定した体制を構築する上でもさらにスタッフを増員したいと考えています。
モトウイング須賀に長く勤めてくれている店長をはじめ、2024年に入社した小川さん(下記にインタビュー掲載)、そして今後加わるスタッフも含め、少しでも長く勤めてほしいと常に考えてきました。だからこそ、いち企業として働きやすい職場環境づくりにも着手。具体例としては、作業の高効率化を図るマニュアルの導入や見直し、作業内容をデータ化してクラウド上での情報共有と、仕事の見える化も実施してきました。こうした新しい仕組みを導入したことで、ゆとりあるスケジュール管理も実現できています。
また、おかげさまで弊社の取り組みが評価され、板橋区がワーク・ライフ・バランスやダイバーシティ&インクルージョンの推進に積極的に取り組んでいる企業などを表彰する 『いたばしgood balance会社賞2023』も受賞できました」
スタッフが増えることで、よりチャレンジしていきたいことはありますか?
「いまは実用性の高いバイクの販売とクイックメンテナンスをメインに評価いただいていますが、古くからのお客様の大型バイクも扱っていますし、中古の大型バイクの引き合いも多いです。ですので、中古の大型バイク、趣味性のあるバイクの提案にももう少し力をいれていきたいですね。それがかなえば、お客様のより豊かなバイクライフをサポートできると思っています」
2024年5月に入社したチーフメカニックの小川幸笑さん。「分からないことは、知識も経験も豊富な店長の鐘築さんにすぐ聞くようにしています。お願いや相談がしやすい職場環境です。」
2024年に入社したチーフメカニックの小川幸笑さん。バイク業界歴は12年になるが、それ以前はジュエリー業界で働いていたという異色のキャリアをもつ。まずそのキャリアについて話を伺った。
「20代前半にバイクの免許を取得して乗っていたこともあり、ジュエリーの世界から転職を考えた時に浮かんだのがバイク業界でした。幸運にも最初に勤めたショップが良くしてくださって、そこで3級二輪自動車整備士の資格を取得。いくつかのバイクショップを経験し、一時期ちょっと体調を崩して正社員からバイトになったこともありました。夏は暑い、冬は寒いという厳しい環境の職場も経験してきたので、空調が整っている『モトウイング須賀』は天国みたいな職場です!
じつは実家が近所で、『モトウイング須賀』は子どもの頃から知っていました。ある日、ショップの横を歩いていたら求人のポスターが貼ってあるのを見つけて。まさか地元の老舗ショップに働けるチャンスがあると思っていなかったので、びっくりして二度見しました(笑)。その当時、転職は考えていなかったのですが、地域密着の働き方に憧れがあったことと、なにより老舗のバイクショップという点に惹かれて応募しました」
実際に働き始めてからいかがですか?
「これまでの勤め先はお客様と接することはあまりなく、裏方として整備作業に徹することが多かったので、お客様との密なコミュニケーションがあることに驚きました。いろんな方のバイクの話を聞いたりできて、それも楽しいですね。クイックメンテナンスの場合、私が作業しているのを見ながらお待ちいただくことも多いので、話し上手になることが目下の目標です。
お付き合いが長いお客様も多いので、最善を尽くしたサービス提案に感謝されることが多いことも驚きでした。これまでは良かれと思って提案することも、お客様のタイミングやご予算に合わなくて少し嫌な顔をされることもありましたが、ここは違います。こうして感謝されるのは長年の信頼関係があるからこそだと実感しています。正しいことを正しくできる職場で働きたいと思っていたので、本当に嬉しいですし、やりがいがあります」
次なる目標はなにかありますか?
「もうすぐ勤めて1年ほどになりますが年間120日ほどのお休みもしっかりあり、時間がなくてできていなかったことを叶えたいと思っています。その一つが2級二輪自動車整備士の資格取得です。社長に相談したところ、快くチャレンジを応援するよ!と言っていただけたので、今年チャレンジしようと思っています!」
JOBIKE編集部より
『モトウイング須賀』がある中山道は、古くは江戸と京都を結ぶ街道だ。今も車の往来が激しい中山道沿いや一本裏にある旧中山道を歩くと古くからの個人商店も残る仲宿商店街に、宿場として栄えた名残が感じられる。この歴史ある街の一角にあるのが『モトウイング須賀』だ。
10時開店と同時の取材開始だったが少し早めに到着したため、通りの向かいからしばらくショップを眺めていた。常に人の往来もある場所ゆえ、信号待ちをしながらバイクを眺める人の姿も多く見受けられた。そのなかで、お母さんに手を繋がれた子どもが、バイクを指差しながら一生懸命何かを話しているシーンもあった。何気ない瞬間だったが、街のバイク屋さんの思い出はこうして積み重ねられていくのだろうと思った。
今回お話を伺って、改めて地元に密着した経営スタイルのひとつの理想形がここにあると思った。当初転職するつもりはなかったという小川さんがスタッフに応募してきてくれたことを、須賀さんは「何かを感じてうちに応募してきてくれた、これが弊社の価値だと思います」と力強く語っていたが、まさにその通りで長年培ってきた老舗の信頼が、現在の『モトウイング須賀』をつくっている。強固な経営スタイルと顧客基盤が成立しているバイクショップだからこそ、技術以外にも学べることは多いのではないだろうか。
JOBIKE編集部より
モトウイング須賀
〒〒173-0013
東京都板橋区氷川町19-11
電話:03-3961-1953
FAX:03-3963-1592
営業時間: 10:00-19:00
(日曜日:10:00-18:00)
定休日 : 水曜日/祝日
HP : https://motowing-suga.com/
EMAIL : bike@mw-suga.com