取材協力:株式会社マイテック 取材:小川勤 / 写真:長谷川徹
掲載日:2024/05/07
ロイヤルエンフィールド東京ウエストと、旧車に強いカスタムショップであるリアライズを東京都八王子市で展開する株式会社マイテック。2024年3月には東京都杉並区に新たにロイヤルエンフィールド東京セントラルをオープンした。今回は新規オープンのロイヤルエンフィールド東京セントラルでのスターティングメンバーとして、メカニックとセールススタッフを募集中だ。
「普通の整備をしているだけです」とマイテック代表の道岡さんは笑う。
「これが当たり前だと思っています」とリアライズ&ロイヤルエンフィールド東京ウエストを牽引する木村さんが答える。
僕はこれまで、彼らが整備したロイヤルエンフィールドに何台も乗ってきたのだが、そのどれもが心地よかった。レバーやペダルの位置や操作感、空気圧、チェーンの張りなどが調律され、「きちんと整備されているなぁ」といつも感心していた。そのフィーリングを伝えると、上記の答えが返ってきたのである。
ただ、彼らの言う『普通』や『当たり前』は、すべてのショップの『普通』や『当たり前』ではない。
「整備後に試乗して違和感があれば、もちろん見直します。例えば、たまにステムの締め付けがキツイ場合があるんです」と道岡さん。その整備内容は決して難しくはないが、手間と時間はかかる。そして見極めるためには経験やセンスがいる。だから、それを『普通』のこととして実施できないショップはたくさんあるのだ。
この気遣いを成せる技術と経験が、ロイヤルエンフィールド東京ウエストの2年連続でロイヤルエンフィールド新車販売台数日本一という実績に直結しているのだろう。そしてロイヤルエンフィールドディーラーとして3年目を迎える2024年、マイテックは販売拠点を拡大。
東京都杉並区にオープンしたロイヤルエンフィールド東京セントラルとマット東京セントラル。
従来、輸入元のPCI社によって純粋にショールームとしてのみ運営されており、車両の販売は実施されていなかった杉並区のロイヤルエンフィールド東京ショールームをマイテックが引き継ぎ、その1階はロイヤルエンフィールド東京セントラルとして、2階をマット東京セントラルとしてリニューアル。
ロイヤルエンフィールドは2店舗目の販売拠点として、マットモーターサイクルは今回新たに取り扱いをスタートすることになった。
「ロイヤルエンフィールドを日本一販売するコツは?」と尋ねても、道岡さんは『普通』にしているだけなんですけどね、と笑う。
ロイヤルエンフィールドオーナーや興味がある人を対象とした『RIDE』というツーリングイベントを月に1回ほどのペースで開催。そこでバイク仲間の広がりや、バイク趣味の多様性を提案。最近は他店で購入したユーザーの参加も多く、そこで新しいコミュニティが生まれている。
八王子市にあるリアライズとロイヤルエンフィールド東京ウエスト。(拠点は同一)
リアライズは国産旧車の整備やカスタムを得意とする。
ちなみにマイテックでは、他店で購入したバイクの整備も受け付けている。
「ロイヤルエンフィールドに限らず、ずっとそのスタンスでやってきました。どんなバイクもそれぞれに良さがあり、どれも個人的に好きなんです」と道岡さん。
八王子のリアライズでは空冷4発の旧車を中心に様々なバイクの整備やカスタムをするし、東京ウエストと東京セントラルでは他店で購入したロイヤルエンフィールドやマットモーターサイクルの面倒を見てくれるという。これを『普通』と考えるところがマイテックの強さだ。
新車として取り扱いを行うブランドに限定することなく、ノーマル車両もカスタム車両も含めて多くのバイクを手掛けることで知見を高め、ユーザーの声や今のトレンドを敏感に感じ取っているのだ。
リアライズとロイヤルエンフィールド東京ウエストのスタッフ。右から徳広さん、坂本さん、木村さん、岡野さん、田代さん。
「昨年インドに行って、現地でロイヤルエンフィールドのステイタスの高さを確認できたことが大きいです。その魅力を伝えていきたいですね」と八王子の拠点を牽引する木村さん。
バイクショップがバイクを販売するのは当然のこと。しかし、難しいのはバイクを販売した後に、そのショップのお客さんとしてバイクに乗り続けてもらうことだ。
「お客さんにはバイクに長く乗って欲しいんです。もちろん僕も長く仕事をする気でいますし、今働いているスタッフにも将来ずっと働いていけるような仕事を作っていきたいと思っています。
そういった意味では、ロイヤルエンフィールドを取り扱ってよかったと思います。
リアライズのメインは旧車でしたから、整備やカスタムも技術的なハードルが非常に高い。
新しいスタッフが入ってきても、どうしても下積み期間が長くなってしまうんです。それだとなかなかモチベーションが保てませんよね。
今考えると、これまで新しく入ってきた方向けの仕事を作り出せていなかったんです。
でも、ロイヤルエンフィールドの基本整備であれば、メカニックとしての仕事を作れます。
基本整備って、バイクを走らせる上でとても重要。たとえ新車でも、最初から完璧なコンディションであったり、ちゃんとしているわけではない。実際に納める新車を自分で押し引きして、試乗して、違和感を感じたところを調整する。それで良くなったことを体感すると、それが勉強になる。
バイクって、例えばレバーやペダルの位置で操作性が大きく変わるじゃないですか。派手な部品を装着するだけのカスタムは目立ちますが、それって誰にでもできるんです。むしろ、こういった基本的な部分で自分のセンサーを磨いたり感じ取ったりできるメカニックになって欲しいですね」と道岡さん。
ちなみに、マイテックでは残業はほとんどないという。
昔は夜遅くまで働くこともあったそうだが、きちんと定時で仕事を切り上げた方が効率が上がったとのこと。
ロイヤルエンフィールドは空冷350cc単気筒エンジンを搭載するモデルで4機種を展開。空冷650cc2気筒エンジンを搭載するモデルも4機種を展開。さらに唯一の水冷452ccエンジンを搭載するアドベンチャーモデルであるヒマラヤも登場。そのカラーバリエーションを考慮すると、膨大なラインナップを誇る。
「正直、昔のロイヤルエンフィールドの印象はそれほどよくないです。そんな印象を持っている方は今も多いです。しかし、今はほとんどトラブルがなく、新車3年保証もあります。パーツ供給も問題ありません。とにかくバリエーションが豊富なので、お客さんに合ったものを勧めることができるのも魅力です」と道岡さん。
こうした実感が得られたからこそ、道岡さんは店舗を拡大した。
ロイヤルエンフィールド東京セントラルの店長に抜擢されたのは、2023年の8月に入社したばかりの25歳の伊藤光騎さんだ。
マイテック代表である40歳の道岡さんと、ロイヤルエンフィールド東京セントラル店長である25歳の伊藤さん。若い力がロイヤルエンフィールドとマットモーターサイクルを盛り上げる。
「まだオープンして間もないにも関わらず、多くの方に来店していただいています。当店は試乗車も豊富なので、試乗してから決めていただくことも可能です。東京ウエストに負けないよう、切磋琢磨して頑張っていきたいです。バイクの免許がなくても、ロイヤルエンフィールドやマットモーターサイクルに興味があれば、セールスはできると思います」と伊藤さん。伊藤さんはとても人当たりがよく、穏やかで真面目。すでに多くのユーザーに頼られている。
実は東京セントラルは、インポーターからメディアに向けた広報車の貸し出し業務も任されている。車両によっては貸し出し中ということもあり得るが、きちんと車両スケジュールを確認してから訪れれば、さまざまなロイヤルエンフィールドを試乗することが可能。
ロイヤルエンフィールド東京セントラルの一員になって、一緒に『日本一』を目指してみるのはいかがだろう?
JOBIKE編集部より
僕が道岡さんに出会ったのは15年ほど前。まだ20代の道岡さんはカワサキZの世界で奮闘していた。メンテや整備、カスタムはもちろん、自らレースにも参戦。サーキットでもよく出会った。
そんな道岡さんが、3年ほど前にロイヤルエンフィールドの取り扱いを始めたのは少し驚いたが、瞬く間に日本一の販売店に成長。
メディア向け広報車の登録や整備も手掛けているので、僕はマイテックの整備したバイクによく乗っているのだ。走り出した瞬間に伝わる、道岡さんにとっての『普通』は、八王子店スタッフの木村さんに継承されている。
最近印象的だったのは、木村さんの東京モーターサイクルショーでの振る舞いだ。
ロイヤルエンフィールドのブースではヒマラヤ、ブリット350、ショットガン650の新しい3台を壇上に展示。木村さんはショー開催中の3日間をほぼ壇上で過ごした。途切れなく壇上に上がってくるお客さんにニューモデルの魅力を丁寧に伝え続けていた。
期間中、僕もブースに入っていたので「変わろうか?」と聞いても「大丈夫っす!」と元気に返答。
最終日、「頑張ったね〜」と声をかけると、ガラガラに枯れた声で「日本一の販売店であり続けたいんです!」と返ってきた。
その笑顔は達成感に溢れていた。この素晴らしい温度感を彼らと共有することは、とてもやりがいがある仕事に違いない。
JOBIKE編集部より
株式会社マイテック
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