取材協力:東海オートトレーディング株式会社 取材:沼尾 宏明
掲載日:2024/07/31
愛知県の三河地方で唯一のBMW正規ディーラーであるMotorrad Toyota(モトラッド豊田)と、国産4メーカーの新車・中古車を扱うトーカイオートを構える「東海オートトレーディング株式会社」。
50年を超える歴史があり、三河地方の地元ライダーからの信頼が非常に厚いショップだ。
今秋、国内のBMW正規ディーラーであるBMW Motorradの中でも、最大級の敷地面積を誇る新店舗「Motorrad Toyokawa」(モトラッド豊川)がオープン予定。
愛知県豊田市に東海オートトレーディングが誕生したのは1970年(昭和45年)。長坂さんの実父である現会長が設立し、三河地方(愛知県東部)のライダーを中心に、半世紀以上にわたって長く愛され続けている老舗販売店だ。
それだけでなく、愛知県におけるバイク業界の発展に貢献し、なんと現会長が国から黄綬褒章を授与されたというから驚く。バイク業界で褒章受章者はほぼ例がないだけに、いかに優良企業かわかるだろう。
同社を2019年から率いるのが二代目社長の長坂賢司さんだ。柔らかい物腰のとおり、経営の姿勢は柔軟かつ合理的。社員の身に立った経営を推し進めつつ、攻めの姿勢もしっかり併せ持つ。そこには他業種での経験やBMWというブランドに魅せられた過去が活かされていた。
代表取締役社長の長坂賢司さんは1982年、愛知県豊田市生まれ。現在、愛知オートバイ事業協同組合の副理事も務める。2010年、27歳でMotorrad Toyotaのオープンにあたって中途入社。同店の店長を務めた後、2019年10月より現職。愛車はBMW R-18 ClassicとHRC GROMレーサー。
国内4メーカーの新車・中古車を販売するトーカイオートに隣接する形で、2010年からMotorrad Toyotaを展開してきました。こうしたメーカーをまたいで国産車と外車を併売する業態は近頃では珍しいと思います。
以前は国産車からBMWに乗り換えられるお客様が数多くいらっしゃいましたが、近頃はBMWユーザーが国産車を購入するという従来とは逆のケースも増えてきました。例えば、BMW R1250GSのセカンドバイクとして、ホンダのCT125ハンターカブを購入したい、といった要望です。こうしたリクエストにお応えできるのは、弊社ならではの強みですね。
これに加え、今秋から豊川市に新店舗の「Motorrad Toyokawa」をオープンします。当初はなるべくコンパクトにしようとしたのですが、最終的に敷地面積は440坪と広大なものになりました。店舗自体は約40mの奥行きがあり、そのスケール感にはきっと驚いていただけると思います。
国産車との併売店である現店舗に対し、新店ではBMWに特化した形で独自の高級感や世界観をよりしっかりと演出できると考えています。少しカッコよく言えば、新店舗はBMWモトラッドの「真髄」を体現する店舗としたいと思っています。
一方で、以前からお客様に支持されている当社のフレンドリーさやイベントの多さといった「ザ・バイク屋」といった接客も大事にしていきたいですね。
今回は既存店と新店を含む東海オートトレーディング全体としての募集となります。
近頃、採用させてもらったスタッフ達に共通しているのは“前向き”で“失敗を恐れない”、そして“バイク好き”ということです。
資格やバイクの経験自体は問いません。実際、免許やバイクに乗ったことがなかった営業スタッフも在籍しています。
後から免許は取れますし、知識も補うことが出来ます。が、その人独自の素材や魅力を後から育てることは難しいと考えているので、バイクの経験があまりない人でも「ちょっとやってみたいな」と思ったら、ぜひ応募してみてください。
かくいう私も、バイクショップが家業でありながら、元々はバイクに興味がありませんでした。大学卒業後は住宅販売の営業マンをしていたのですが、先代からの頼みもあって、2010年のMotorrad Toyotaのオープンに合わせて家業を継ぐことにしたんです。
しかし入社後、様々なバイクの楽しさに触れることになりました。個人的に、人生観が変わるほど大きな転機になったのが、2013年に行われたBMWの海外研修です。モロッコで新製品、R1250GSのプレゼンテーションがあり、現地の5つ星ホテルでの様々な演出や広大な砂漠での試験走行、ホテルに整然と並べられた200台の車両の威容などに感動しました。
「まず販売員を感動させられなかったら、ユーザーに製品のよさは絶対伝わらない」というメーカーの意気込みに深く共感したんです。こうしてBMWにどっぷり魅せられて現在に至ります。
BMWでは定期的に海外研修があり、今ではスタッフに行ってもらっています。新しく入社した方にもぜひ体験して欲しいですね。
私が現職に就いた頃は、スタッフが閉店時間を過ぎても仕事しているなど、業務にメリハリがない面がありました。自分の経験してきた健全な企業の形とはかなりかけ離れていたため、スタッフと話し合い、効率的に仕事を進めてもらえるよう改善に努めました。
今では18時にきっちり閉店して19時にはほぼ社員が残っていません。月の残業時間は10時間もない程度です。
休日は年間105日になる計算で、有給を入れて125日程度を確保しています。有給を使いづらい雰囲気が全然なく、実際に消化しやすい環境と職場の雰囲気です。
給与に関しては、職業能力手当のほか、売上に応じて部署ごとのインセンティブもあります。
今後は新たな役職を設けることを検討中です。現在は役職が店長しかないので、それまでに3段階ぐらいの役職を設けます。スキルや経験に応じた評価をしていき、従業員のモチベーション管理や、キャリアアップの目標であったり目安になれば、と考えています。
バイクや業界での経験ではなく、その「人」自身を見る。長坂社長の採用基準は、なかなかバイクショップでは珍しい視点かも知れない。
職場環境に関しても実にホワイト。合理的に働きやすさを追求し、改善を加えている。こうした柔軟さは、長坂社長が生粋の“バイク屋”ではなかったからこそだろう。
ネット全盛の昨今、ショップに足を運ばなくてもバイクが買える時代が到来しつつある。しかし、長坂社長はショップを「バイクを売る場」以上に、「バイクを通した新しい出会いを提供できる場」であると考えている。憧れの車両、非日常の体験、同じ趣味で繋がれる人、これら全てとリアルに出会える場所は、今までもこれからもバイクショップなのである。
「応募を考えている方には、そういった世界観を演出できるところに魅力を感じてもらえたら嬉しいかな」と話してくれた。
職場は、前述したとおり休日をはじめ福利厚生が充実している。普段は、毎週水曜日と第1&第3火曜日が定休。さらに月に1回、個人で自由に設定できる選択休がある。つまり毎月2回の連休があり、選択休と合わせれば3連休の取得も可能。ビジネス的にはかきいれ時のイメージが強い土日にも選択休を使っているスタッフもいるとのことで、柔軟な働き方が確立されていることを実感する。
長期休暇は平均して年末年始7日、ゴールデンウィーク6日、夏期6日ほど設定され、これまた羨ましい限りだ。給与に関しては、昇給年1回と賞与が2回。売上に応じて部署ごとにインセンティブがある。例え個人の成績は奮わなくても、チームでの実績で評価してもらえるのはとてもありがたい。
求人募集で「ホワイトな職場」という文言は常套句だが、東海オートトレーディングはまさにスタッフ思いの働きやすい職場と言えるだろう。
城本さんも前職ではバイクと全く関係のない仕事をされていた。大学時代にマグナ50で日本一周するなど4miniが好きではあったものの、入社前には原付免許しか持っていなかったという。しかし、現在では入社から約1年で新店舗の副店長を務めることに。入社からどんな経過をたどったのか、興味津々で訊いてみた。
前職は転勤が多く、妻から「そろそろ落ち着いてほしい」と言われまして。地元がある東海三県での仕事を探すことにしました。前職に勤めていた間も原付バイクにはちょこちょこ乗っていたので、バイク業界に行きたいなという気持ちはあったんです。
そんな矢先、東海オートトレーディングの募集を見ました。長坂社長とお会いして、 すぐ面接していただきました。その日は淡路島から日帰りで面接に臨んだのですが、「そんな馬鹿な子は、絶対雇うから!(笑)」と社長に言っていただけたんです(笑)。
面接で印象的だったのは、フレンドリーさと、こちらのことをすごく見てくださるということです。こちらの履歴書や職務経歴書を事前にしっかり読み込んで、質問してくださいました。他のバイクショップも面接を受けさせていただきましたが、正直な所、履歴書に目を通してはいらっしゃらないなと感じられる面接もあったので、断然「長坂社長の元で働きたいな」と思いましたね。
入社当初はバイクが好きとはいえ、BMWの車両は1台も知りませんでしたね。社長につきっきりで教えてもらったり、試乗車を乗らせてもらったりして勉強しました。
大型バイクの取り回しに自信がなかったので、これも練習していたのですが、忙しい中先輩が付き合ってくださったりと非常に面倒見がいい職場です。
今年、体調を崩して1か月半ほど休職させていただいたことがあるのですが、その際も非常に親身になって相談に乗ってくださいました。本当に、感謝しかありませんね。
仕事でやりがいを感じるのは、やはりお客様から契約をいただいた時ですね。メカニックの方や社長に報告すると皆さん自分のことのように喜んでくれますし、やはりうれしいです。販売ノルマは一応ありますけど、無理な数字ではなく、しっかりやることをやれば達成できる数字だと思っています。
待遇面も満足しています。給与については正直、思っていたよりも頂けていると思います。それに、この会社はとてもバイクが売りやすい環境が整っています。お客様も安心して購入しに来てくださいますし、お客様同士のつながりで来てくださる方も非常に多い。新店舗となる豊川でも、そうした雰囲気をつくっていけたらいいですね。
今後の目標は、大きなところでは長坂社長を日本一のディーラーの社長にしたい(笑)。
社長は最前線に出ずっぱりで頑張っているので、ちょっと楽をさせてあげたいです。小さなところでは、一人一人のお客様に、丁寧に誠実に対応していきたいです。
JOBIKE編集部より
取材で感じたのは「とにかくスタッフとユーザー思いのショップだな」ということ。長坂社長は経営理念に「バイクを通した新しい出会い」を掲げる。お客様にただモノを売るだけではなく、積極的にツーリングやオフロード走行といった体験も提供し、顧客との結びつきが強い。
その証拠に、ひとたびお店でツーリングを開催するとなれば、BMWだけでも40~50台は集まる。単一メーカーのバイクをここまで集客できるショップはまずない。
現に、長野県白馬で開催されるBMWモトラットデイズでは、全国で同社が最も参加者の多いディーラーとなっている。これほどお客様から愛されているショップも珍しい。
国内モデル向けのサービス「娯車整」(ごしゃせい)も非常にユニークだ。同社独自のメンテナンスパッケージで、タイヤ代+工賃が5年間半額になるなど非常にお得。新車購入者の約7割が加入するほど好評だ。長坂社長によると「家庭持ちの旦那さん向けのサービス」で、新車購入時に加入することでその後の定期メンテナンスに必要になる出費を抑えることが出来るため、奥様の納得も得られやすい金額になるとのこと。
今回インタビューさせて頂いた城本さんが「長坂社長を日本一のディーラーの社長にしたい」と目標を語ってくれたが、これは日頃のコミュニケーションを通じて、顧客のみでなくスタッフとも信頼関係が醸成されていることを強く感じさせられる。城本さんは「初めて、ここまで目標にできる年上の人ができた」とも語っており、ここまで一緒に働きたいと思えるリーダーはそうそういないはずだ。
さらにこの不安定な御時世の中、新たに巨大な新店舗をオープンさせるといった決断力も凄い。優れたリーダーの元、老舗の守るべき点は守り、時代に合わせて大胆に変革していく。この姿勢に人材も集まってくる。今後のさらなる発展が期待できるのはこうした企業なのだ、と考えさせられた。
JOBIKE編集部より
東海オートトレーディング株式会社
〒470-1205
愛知県 豊田市 永覚町下長38
電話:Motorrad Toyota : 0565-21-8555 / トーカイオート豊田店 : 0565-21-0511
FAX:0565-21-5373
営業時間: 10:00~18:00
定休日 : 毎週水曜日・第1・3火曜日
HP : https://www.tokai-auto.co.jp/
EMAIL : sales@tokai-auto.co.jp