取材協力:東海オートトレーディング株式会社 取材:沼尾 宏明
掲載日:2025/11/07
愛知県の三河地方で唯一のBMW正規ディーラーであるMotorrad Toyota(モトラッド豊田)と、国産4メーカーの新車&中古車を扱うトーカイオートを構える「東海オートトレーディング株式会社」。2024年秋から国内BMW正規ディーラー最大級の敷地面積を誇る「Motorrad Toyokawa」(モトラッド豊川)をオープンした。事業成長を続ける同社がさらなるスタッフを募集する。
4mもの高い天井に、遥か遠くまで伸びる奥行40mの展示スペース。このスケール感と美術館のような雰囲気に思わず圧倒される。
2024年10月、愛知県豊川市御油町にオープンしたMotorrad Toyokawaは、1360平米もの敷地に延べ床面積約600平米を有し、国内BMW正規ディーラーでも指折りの大型店舗。
BMW本社が建物の構造からレイアウトまでを監修しており、BMW Motorradが提言するライフスタイル「Make Life A Ride」をまさに具現化している。
これを運営するのが東海オートトレーディング株式会社だ。1970年(昭和45年)に創立された老舗で、愛知県豊田市にトーカイオートとMotorrad Toyotaを展開。三河地方(愛知県東部)のライダーを中心に半世紀以上にわたって長く愛され続けてきたが、さらに新店のMotorrad Toyokawaが加わることで、より商圏と業績を拡大している。
この東海オートトレーディングを率いているのが二代目社長の長坂賢司さんだ。同社を設立した長坂さんの実父は、愛知県におけるバイク業界の発展に貢献し、なんと現会長が国から黄綬褒章を授与されたという人物。バイク業界で褒章受章者はほぼ例がなく、同社がいかに優良企業かわかる。
長坂賢司さんは会社を2019年から受け継ぎ、より社員の身に立った経営と攻めの姿勢を取っている。経営は柔軟かつ合理的で、そこには他業種での経験やBMWというブランドに魅せられた過去が活かされている。

代表取締役社長の長坂賢司さんは1982年生まれ。現在、愛知オートバイ事業協同組合の副理事も務める。2010年、27歳でMotorrad Toyotaのオープンにあたって中途入社。同店の店長を務めた後、2019年10月より現職。愛車はBMW R-18 ClassicとHRC GROMレーサー。
長坂社長:国内4メーカーの新車・中古車を販売するトーカイオートに隣接する形で、2010年からMotorrad Toyotaを展開してきました。こうしたメーカーをまたいで国産車と外車を併売する業態は近頃では珍しいと思います。
以前は国産車からBMWに乗り換えられるお客様が数多くいらっしゃいましたが、近頃はBMWユーザーが国産車を購入するという従来とは逆のケースも増えてきました。例えば、BMW R1300GSのセカンドバイクとして、ホンダのCT125ハンターカブを購入したい、といった要望です。こうしたリクエストにお応えできるのは、弊社ならではの強みですね。
これに加え、2024年10月から豊川市にBMW専売店のMotorrad Toyokawaをオープンしました。BMWならではの世界観を100パーセント表現できたと個人的に思っていますし、スケール感にはきっと驚いていただけるはずです。
国産車との併売店である豊田店は、“家族感”と言いますか、フレンドリーでイベントが多い「街のバイク屋さん」らしさが残っています。一方、Motorrad ToyokawaではBMWに特化し、独自の高級感や世界観をよりしっかりと演出して、独自性を打ち出しています。
長坂社長:今回はセールス、メカニックを問わず、東海オートトレーディング全体としての募集となります。
近頃、採用させてもらったスタッフ達に共通しているのは“前向き”で“失敗を恐れない”、そして“バイク好き”ということです。
資格やバイクの経験自体は問いません。実際、免許やバイクに乗ったことがなかった営業スタッフも在籍しています。
後から免許は取れますし、知識も補うことが出来ます。が、その人独自の素材や魅力を後から育てることは難しいと考えているので、バイクの経験があまりない人でも「ちょっとやってみたいな」と思ったら、ぜひ応募してみてください。
かくいう私も、バイクショップが家業でありながら、元々はバイクに興味がありませんでした。大学卒業後は住宅販売の営業マンをしていたのですが、先代からの頼みもあって、2010年のMotorrad Toyotaのオープンに合わせて家業を継ぐことにしたんです。
しかし入社後、様々なバイクの楽しさに触れることになりました。個人的に、人生観が変わるほど大きな転機になったのが、2013年に行われたBMWの海外研修です。モロッコで新製品、R1250GSのプレゼンテーションがあり、現地の5つ星ホテルでの様々な演出や広大な砂漠での試験走行、ホテルに整然と並べられた200台の車両の威容などに感動しました。
「まず販売員を感動させられなかったら、ユーザーに製品のよさは絶対伝わらない」というメーカーの意気込みに深く共感したんです。こうしてBMWにどっぷり魅せられて現在に至ります。
BMWでは定期的に海外研修があり、今ではスタッフに行ってもらっています。新しく入社した方にもぜひ体験して欲しいですね。
長坂社長:私が現職に就いた頃は、スタッフが閉店時間を過ぎても仕事しているなど、業務にメリハリがない面がありました。自分の経験してきた健全な企業の形とはかなりかけ離れていたため、スタッフと話し合い、効率的に仕事を進めてもらえるよう改善に努めました。
今では18時にきっちり閉店して19時にはほぼ社員が残っていません。月の残業時間は10時間もない程度です。
休日は年間105日になる計算で、有給を入れて125日程度を確保しています。今後さらに休みを増やしていく方針です。有給についても使いづらい雰囲気が全然なく、実際に消化しやすい環境と職場の雰囲気です。
給与に関しては、職業能力手当のほか、売上に応じて部署ごとのインセンティブもあります。
今後はスキルや経験に応じた評価をしていき、従業員のモチベーション管理や、キャリアアップの目標であったり目安になれば、と考えています。
長坂社長:知識や経験は問いませんが、人財として来ていただきたいのは“どうしたら仕事が楽しくなるのか自分自身で考えている人”ですね。
僕は「仕事を科学する」という言葉が好きなんです。仕事に対して、こうしたらこうなるという“仮定”と、その“結論”を連続して継続できる人が素敵だと思っています。チャレンジして成功するかしないかは僕にもわかりませんが、“仮定”することでワクワクして笑顔になり、仕事を楽しめる。そんな人と共に仕事をできればと考えています。
スタッフにはその一環として、目標カレンダーの導入を検討中です。チームごとに自ら月間目標を設定してもらい、その目標に向かってチャレンジしてもらうというものです。責任に向き合うことでスタッフをより成長させたいからです。
僕は従業員さんのことを大切に思う経営者の方だと思っています。なので、成長したいと思っている方や、本当にバイクを楽しみながら仕事をしたい方に全力でサポートしたいと考えています。

目的を達成するために、どんな手段や方法が必要なのか細分化して考える目標カレンダーについて語る長坂社長。社員の成長を常に見守っている。
バイクや業界での経験ではなく、その「人」自身を見る。長坂社長の採用基準は、なかなかバイクショップでは珍しい視点かも知れない。そのおかげか、世間のバイク販売店スタッフの平均年齢が47歳と言われる中、同社は半数以上が30代以下。一方で勤続10年、20年超のベテランも多く、多種多様なスタッフが揃っている。
職場環境に関しても実にホワイト。合理的に働きやすさを追求し、改善を加えている。こうした柔軟さは、長坂社長が生粋の“バイク屋”ではなかったからこそだろう。
ネット全盛の昨今、ショップに足を運ばなくてもバイクが買える時代が到来しつつある。しかし、長坂社長はショップを「バイクを売る場」以上に、「バイクを通した新しい出会いを提供できる場」と考えている。憧れの車両、非日常の体験、同じ趣味で繋がれる人、これら全てとリアルに出会える場所は、今までもこれからもバイクショップなのである。
「応募を考えている方には、そういった世界観を演出できるところに魅力を感じてもらえたら嬉しいかな」と話してくれた。

細井一歩さん(40歳)は四輪の整備専門学校を卒業し、2005年に新卒で入社。現在はMotorrad Toyokawaの店長兼工場長という大車輪の活躍をしている。休日には愛車の1988年型R100RSでツーリングを楽しむ。
細井さん:就職するにあたって、四輪ディーラーを探していたのですが、趣味で乗っていたバイクの方が合っていると思い、ちょうど求人していた東海オートトレーディングに入社しました。
ずっと豊田店でメカニックをしていましたが、昨年のMotorrad Toyokawaのオープンに合わせて異動し、店長兼工場長に就きました。ありがたいことに、いきなり一つのお店を任せられることになり、そこから色々覚えました。この1年、とても早かったですね(笑)。
店長と工場長という仕事は、かなり逆の業務となります。私はメカには詳しいですが、営業方面は色々教えていただきながら仕事を進めています。徐々に足を運んでいただける常連の方も増えてきましたし、豊田店からの常連さんも足を運んでいただいているので、すごく支えられている感じがしてます。
私が仕事で心がけているのは“どうすればお客様に喜んでもらえるか”です。例えば、整備の出来はもちろん、驚いてもらえるほど洗車でピカピカにしてお返ししています。お客様の想像より上に行きたいと常に思っていますね。
将来の夢や目標はよく聞かれますが、私にはないです。いらっしゃったお客様に全力で接して笑顔で帰ってもらうことしか考えていません。
細井さん:Motorrad Toyokawaには、購入意欲が高い“本気”のお客様がいらっしゃる傾向があります。そのため、接客しやすい一面があるかもしれません。BMW専売店ならではのメリットとしては、BMWに特化したスタッフが多いので、疑問があってもすぐに解決できることですね。好きで乗っているスタッフも多く、乗る時のアドバイスも細かくできると思います。
BMWというブランドはやはり魅力的です。走りはもちろんいいのですが、所有感がすごくありますし、日本人では考えつかないデザインが多いので眺めていても飽きないのがいいですね。
職場は、みんな仲がいいです。年代は20~50代まで皆さんバラバラですけど、カベや上下関係がありません。スタッフはみんな遊び心があり、自分のアイデアを持っている人が多いですね。そういう人に向いてる職場ですし、それぞれのアイデアが出しやすい雰囲気を作っているつもりです。
店内のレイアウトをはじめ、ウェアの仕入れ一つとっても、かなり自由にやらせてもらっているので、自分たちで売り場を作ることができます。やらされている感じではなく、自分たちで考えて自分たちでできることが楽しいです。
スタッフとして来ていただきたいのは、人と接するのが好きな人ですね。メカニックといえども、お客様とお話する機会っていうのも多いです。故障箇所を聞き出す場合でも、普段からの使い方などを聞けていると、故障の診断がしやすくなったりします。
もし少しでも弊社が気になった人はぜひお願いします。

真っすぐで誠実なお人柄の細井さん。長坂社長が惚れ込み、店長と工場長という重責を任せたくなるのが少しわかった気がした。

田中さんは、異業種から2024年12月に転職した25歳。Motorrad Toyokawaで受付と営業事務を担当し、セールスのサポートも行っている。FTR223が愛車で、G310Rの購入を前向きに検討中。
田中さん:家族ぐるみでバイクに乗っていて、元々バイクが好きでした。家の近所にMotorrad Toyokawaがオープンすることを親が教えてくれて、店舗の前を通ったら大きく「スタッフ募集」と書かれていたのが、会社を知ったきっかけでした。
前職では広告代理店で営業職をしていましたが、ちょうど退職した時期でもありました。調べていくとJOBIKEさんの特集記事がネットに掲載されていて、雰囲気がつかめました。会社に対する安心感を覚え、「ここを受けよう!」という気持ちになりましたね。
面接はフレンドリーな雰囲気で、私が緊張していたら「いったん水飲もう」と落ち着かせてくれました(笑)。私の履歴書も事前に読み込んでくださっていて、私に興味を持ってくださっていることがわかる面接でした。実際に入社してからもフレンドリーな雰囲気そのままでしたね。
今は、受付のほか、営業事務、セールスのサポートなどを担当しています。事務では、登録書類の作成をはじめ、様々な出荷前の準備、保証制度の手続きなどをしています。
ほかに仕事のメインとなっているのが、ポップやプライスタグなどお客様の目に入る装飾物の作製です。さらにSNSからの情報発信もしています。
こうした仕事は経験がなかったのですが、教えてもらい楽しみながらやっています。
お休みは基本的に平日ですが、月に1回、好きな日に休みが入れられるので、予定が入れやすいです。土日に希望休を入れることもできるので、趣味のライブ鑑賞も楽しめています。
田中さん:先日、BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2025に参加させてもらったのですが、ブログなどで発信していたおかげで、大勢のお客様が私の顔や名前を覚えてくださっていました。あとは“私が作ったポップなどを見て来客が増えた”と社長から聞いたこともあります。自分が発信していることが実っていると嬉しいですし、やりがいがあります。
仕事をする上では、お客様とお話しながら日々アンテナを張るよう心がけています。例えば先日、点検で待っているお客様から「近所にご飯食べられる所ないかな」と聞かれたのですが、そこから食事処の案内を作成したりしました。お客様とバイク以外の話をする機会が多いので、そこから何か採り入れて役に立ちたいと考えています。
今後は会社でやっているYouTubeの動画再生回数を最低でも1万回目指したいです。あとはめちゃくちゃ生意気ですけど「看板娘」になりたいです(笑)。
入社してから、お仕事を通して人とのつながりがとても広がり、バイクのことも知ることができました。バイクに興味ある方ももちろん、もっと人とのつながりを広げたい方にも来てもらえたらと思います。
職場は、新しい店舗なので綺麗ですし、お手洗いも広く、ストレスが全くありません。人間関係もフラットですし、肝心な時は上の立場の方が引っ張ってくれるので、すごく働きやすい環境だと思います。

お客様と話しながら仕事の気付きを得ているという田中さん。「仕事は、自分から考えて動けるので、かなり色々チャレンジできると思います」と話す。
JOBIKE編集部より
今回で同社を取材させていただくのは2回目だが、以前感じた「スタッフとユーザー思いの会社」という印象は変わらない……どころか、より強くなった。長坂社長がインタビューで「従業員さんのことを大切に思う経営者の方だと思っています」と話していたが、驚くべきことにMotorrad Toyokawaをオープンさせたのは、同店スタッフの“細井さんのため”というのだ。
細井さんは10年間、ご家庭のある豊川市からバイクで1時間半かけて豊田店に通勤していた。これを何とかしてあげたい、と長坂社長は考えた。豊川市にMotorrad Toyokawaをオープンさせたのは、BMW正規ディーラーがない東三河に店舗をオープンしたいというビジネス的な戦略はあったものの、「細井さんがいなければやらなかった」と長坂社長は話す。
これは究極のエピソードだが、待遇や仕事のやり方を例に取ってみても、常にスタッフの働きやすさと成長を考えてくれているのは確かだろう。
長坂社長は経営理念に「バイクを通した新しい出会い」を掲げ、ひとたびイベントを開催すれば全国でも屈指の集客数を誇るほどお客様に愛されている。
この「バイクを通した新しい出会い」はお客様に留まらず、社員にもあてはまる。バイクを通じて、人生を変えるような人や価値観に出会い、つながりが広がっていく。BMWというブランドに魅了されたり、スタッフのために大型店をオープンしたりする長坂社長自身が、まさにこの言葉を文字通り実践しているのだ。
好条件も魅力的だが、東海オートトレーディングを通じて様々な出会いをし、楽しみながら働きたい人にぜひ門戸を叩いてもらいたい。
JOBIKE編集部より